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MUSIC & MOVIE vol.08 MUSIC & MOVIE vol.08

JOURNALMUSIC & MOVIE TEXT:Covo Tagata / ILLUSTRATION:Tomohiko Matsumoto(dig) VOL 08 NOSTALGIA いつふれても懐かしい普遍的な郷愁

瞬間的に発生するトレンドの元、新たなデザインがゼロから生まれやすいレディースファッションとは対照的に、半世紀前に創造された恒久的なスタイルを時代の情緒に合わせてカスタマイズしてきたメンズカジュアルファッション。今回は、常に「過去」と隣り合わせで進化してきたそれらの副菜として楽しめる郷愁に満ちた作品を紹介します。

Music

当時の風が香る変わらぬ価値

01 Recommended Album No.01
Frank Sinatra / フランク・シナトラ The Voice / ザ・ヴォイス

音楽界のアンクル・サムと言っても過言ではないシンガー、フランク・シナトラ。1939年にシンガーとしてプロデビューを果たし、1998年にこの世を去るまで何かとアメリカ全土をスキャンダルで賑わしてきた彼のニックネームでもある「ザ・ヴォイス」をタイトルに冠した同アルバムがリリースされたのは1955年のこと。アメリカンゴールデンエイジが目に浮かぶ華やかなサウンドは、今なお人々を魅了し続ける。

ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル

02 Recommended Album No.02
Bon Iver/ ボン・イヴェール For Emma, Forever Ago / フォー・エマ・フォーエヴァー・アゴー

現代フォークの急先鋒、ボン・イヴェールが2008年に発表したファーストアルバムがこちら。サイモン&ガーファンクルのような切なく有機的な歌声に、無機的で清潔感のあるアコースティックサウンドが足されて生まれる独特な音楽性は、懐かしさと今らしさがミルフィーユ状に重なり合い、様々な世代の納得度を得られるはず。まずは同アルバム3曲目に収録される「スキニー・ラブ」から聴いてみて欲しい。

©Jagjaguwar

03 Recommended Album No.03
Kansas / カンサス Playlist: The Very Best Of Kansas
/ プレイリスト:ヴェリー・ベスト・オブ・カンサス

愛を以て語弊を恐れずに言うならば、カンサスの素晴らしさはどこかあか抜けないダサさにこそある。「プログレ」にカテゴライズされがちだが、ピンクフロイドのような王道のカッコ良さはなく、かといってキングクリムゾンのような斬新さもない。でも突如現れる芯を食ったメロディについ聴きいってしまう。それが彼らの魅力なのだ。ダサいことがカッコ良いという、ファッションにも通じる男にしかわからない歪んだ感情をこのアルバムを聴いて噛みしめてみては?

ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル

Movie

新しきを教えてくれる懐古的情緒

01 Recommended Movie No.01
Jersey Boys ジャージー・ボーイズ
ビートルになれなかった
4人の生きざまを
マスに翻訳した名作

舞台はニュージャージー。リッチー・サンボラがジョン・ボン・ジョヴィと出会う32年前、1951年から物語はスタートする。フォード「シューボックス」のシェアが徐々に浸透しつつも街には已然としてフロントフェンダーとボンネットが別体のクルマが道を駆り、テレキャスターが華々しく活躍した時代である。この作品にはそういった各「年」を見極められる非常に細かなディテールが随所にちりばめられ、それゆえか当時を生きた誰かの鮮明な記憶を見ているかのようなグルーヴがエンドロールまで銀幕の中に充満する。ワーク・ミリタリーに端を発するアメリカンカジュアルではなく、ゴールデンエイジのリアルなアーバンファッションがみられることも新鮮な感覚を与えてくれるはずだ。さて、「ジャージー・ボーイズ」はご存知「フォーシーズンズ」の軌跡をたどる実話ベースのノンフィクション作品である。注目すべきは歴史上のスターを天才ではなく、栄枯盛衰の無限ループに翻弄される平凡なヒトとして描写したところ。観客の共感を誘いつつも、一方で凛とした彼らのピュアな生きざまを時折露出させることで我々を感動へと導くクリント・イーストウッドの「術」に拍手を送りたい。

©2014 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC ENTERTAINMENT
DVD ¥1,429+Tax
発売元:ワーナー・ブラザース ホームエンターテイメント

02 Recommended Movie No.02
The Artist アーティスト
デフォルメされた情報を
想像で「リアル」に補う
小粋な現代映画

メンズファッションアイコンのひとり、フレッド・アステアは自伝の中で、自身がスターになれたのはトーキー映画のおかげであると語っている。すなわち、サイレント映画の時代が終焉をむかえ音声と映像が同期するトーキー映画の商業化が成功した当時、俳優に求められる要件が美しい容姿「だけ」ではなく、歌って踊れることへと変わったと言っているのだ。あれから約90年、映画は飛躍的な進歩を遂げ、意地悪な言い方をするならば、映画自体が観客に伝えるべきメッセージよりも、映画を魅せる「手法」の方がより進化したともいえる。前置きはさておき、まさにトーキー映画が台頭する1920年代後半のハリウッドを舞台にした同作品は、なんとラストシーンを除くほぼ全編がサイレントのモノクロ映画。そう、俳優のセリフはなく、彼らが交わす会話とそこにあるであろう風景の「色」の解釈は観る者に委ねられるのだ。逆説的に不便な「手法」を用いることで、作品の余白を各人の想像で埋めて楽しむことを教えてくれるこの映画を、なんでもリアルな今だからこそ観てほしい。カジュアルウエアの概念がなく、ヨーロッパのテイストが色濃く残る1930年前後のアメリカのテイラーメイドウエアも必見だ。

©La Petite Reine - Studio 37 - La Classe Americaine - JD Prod - France 3 Cinema - Jouror Productions - uFilm
配給:ギャガ

PROFILE

コボ田形 
COVO TAGATA | 
エディター

明治大学卒業後、株式会社エイ出版社に入社。男性誌「Lightning」「2nd(セカンド)」「CLUTCH MAGAZINE」のエディターを経て、某ブライダル専門誌の広告ディレクターに。アメリカンカルチャーの知見を活かしフリーランスエディターとしても活動しており、2016年9月に創刊されたサブカルチャー誌「BATTERY」においては編集長を務める。また、紙・Webにてミリタリーコンテンツを企画・制作する「MEDIARANGERS」のメンバーとしても精力的に活動を行っている。

 
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